僕は星どろぼう

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八束

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もが追でSS 2013.01.29(Tue) 

突発第一弾!もが追でSSです。
作品自体がR15ですので、十五歳未満の方は閲覧をお控えください。
(このSS中に年齢制限描写は含まれません)


よろしければ、続きからどうぞ!

 ――どうしてこんなことになってしまったのか。

 アリシアは顔面蒼白で自分の膝を見下ろした。
 晩春で大分暖かくなったとはいえ、夜の気温の低さはさすがに身に堪えるだろう。特にこの格好では。
 殺風景の自室は薄暮の青に包まれようというところで、アリシアは視界の悪さに手元のランプの燃料に火を灯した。そして先ほどまでの行動を再開しようとしたところで、戸の前に立った気配に顔を上げた。

「アリシア、いるか?」

 扉のむこうから響いた涼やかな声に、アリシアは虚ろな目にようやく生気を戻した。

「チェ、チェインさん! お願いです、助けてください! 大変なんです!」

 切羽詰るアリシアに、訝しげなチェインが扉を開けて入ってくる。
 そして寝台の上にちょこんと座るアリシアを視界に入れ、驚いたように目を見開いた。珍しくいつものポーカーフェイスが崩れている。

「……一応聞いておくが、どうしたんだ? その格好」
「……セラフィナ様が」

 口元を手で覆ったチェインが、冷気を外に逃がすように扉を閉める。
 アリシアはランプを点けなければよかったと一瞬後悔をした。そうでなければ、チェイン相手にもここまで恥ずかしい思いをしなくてすんだだろう。何しろまとっているのは女性用の衣服というだけではなく、アリシアが生まれて初めて着るようなものなのだから。
 滑らかな肌触りのオートクチュールのドレス。白地に金糸で繊細な刺繍をほどこし、やわらかなシフォンを重ねたスカートはいささか丈が足りず、アリシアのうっすらと筋肉の浮き出た腿が僅かに覗いていしまっている。何よりも肩や背中がむき出しになっているせいで、寒い。そしてそれ以上に、ふだん男物ばかり着ているアリシアにとっては、女性用の衣服を着るということの恥ずかしさには耐え難いものがあった。

「セラフィナ様への贈り物の服なのですが、サイズが合わないからって……。にこにことした笑みで着てみてくださいと言われたものですから、断れなくて……それで……」
「……それで、その格好までここまで戻ってきたのか?」
「だ、誰にも見られないようにはしました! こんな恥ずかしい格好、アスールにでも見られたらどんな嫌味を言われるか! そ、それで脱ごうとしたのですが、脱ぎ方がわからなくて……その……」

 衣服なんて着られればいいのに、どうしてこんなに構造が複雑なのか。着る時はセラフィナに着せられたからいいが、その後恥ずかしさのあまり脱兎のごとく逃げ出したせいで、今度は脱がせてくれる人がいない。聖騎士の制服を持って帰ってきていたのはせめてもの幸いだったが。

「……何が言いたいかは大体わかったが、脱ぐ時は自分で脱いでくれ」
「当たり前じゃないですか! 背中がどうなっているのかわからないので、そこの構造だけ教えていただければ……」

 心底微妙な顔をしたチェインに、アリシアは背中を向けた。足音が忍び寄ってくる。
 冷えきった肩に手のひらが触れ、その温もりにびくっとアリシアは震えた。そのまま暫く腰回りの布を探っていたかと思うと、彼の長い髪先が背中に触れて、アリシアはなんだかむず痒いような気持ちになった。

「ここの紐をほどいて、あと内側にボタンがついているからそれを外せば……多分、脱げると思う」

 ふいに手を取られたかと思うと、背中へと導かれる。
 聞き慣れたはずの低音が耳元で囁かれるのに、今度は別の意味で恥ずかしくなってきてしまい、アリシアはこくこくと頷きながら顔を真っ赤にした。心臓がうるさく早鐘を打っているのが、この近距離では彼に聞こえてしまいそうで恐ろしい。
 わかったか、という言葉に一度大きく頷けば、そのままチェインの気配も離れていった。アリシアはなんとか気を落ち着けると、表情を冷静に取り繕って彼を振り返る。

「あ、ありがとうございます。助かりました」
「ああ。そのままだと体を冷やすから、早く着替えろよ。……あと」

 たまにはそんな格好もいいな、と滅多にない笑みで言われて、アリシアは今度こそ顔の赤味を隠せなかった。


 

 
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